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トロイのあらすじと結末 | アキレウスとヘクトルの死、原作との違いを整理

2004年の映画トロイ(Troy)で最もよく問われるのは、結末がどこで終わるのか、そしてその結末が原作とどれほど重なるのかという点です。映画の後半は、アキレウスがヘクトルを殺しその遺体を引きずっていく場面から、プリアモス王の懇願へと続き、その後は木馬とトロイ陥落へと駆け抜けていきます。

問題は、このうちどこまでが原作イリアスに実際に含まれる内容かということです。結論から言えば、ヘクトルの死とプリアモスによる遺体の取り扱いは原典と重なる部分ですが、木馬と陥落はイリアスのどの巻にも存在しない映画による拡張です。以下では、この二つを層ごとに分けて整理します。

映画タイトル / 原題トロイ / Troy
公開年2004年
結末部の核心的事件ヘクトルの死、遺体の引きずり、プリアモスによる遺体の取り扱い
原作の叙事詩ホメロスのイリアス
原典の該当巻第1巻(アキレウスの怒り)、第22巻(ヘクトルの死)、第24巻(遺体の取り戻しと葬儀)

映画は10年に及ぶ戦争全体を圧縮した翻案

映画トロイは、叙事詩の一巻を映像化した作品ではなく、トロイ戦争全体を一本の作品に収めようとする構成です。この映画がイリアスより広い10年の戦争を圧縮し、木馬へと結末に向かって駆けていくという点は、当時の映画批評でも指摘された箇所です。

そのため、木馬の建造とトロイの陥落が映画の最後の部分を構成しますが、この流れを原作の叙事詩に求めても答えは見つかりません。理由は簡単です。イリアスの本文のどこにも木馬と陥落は登場しないからです。原典が実際に扱う範囲を巻ごとに見ていくと、この違いが明確になります。

イリアスの出発点はアキレウスの怒り

イリアスはトロイ戦争を最初から最後まで順に扱うわけではありません。第1巻はアキレウスの怒りを物語全体の出発点として提示します。その怒りが戦況と登場人物たちの運命を引っ張っていく軸なのです。

映画もアキレウスを中心人物に据えますが、叙事詩のように怒りそのものを冒頭に置く構成ではありません。映画は戦争全体を見渡す幅で物語を展開するため、同じ人物から出発しても、二つの作品が物語を開く方式は異なります。

映画でヘクトルはどのように死ぬのか

映画後半の転換点は、アキレウスとヘクトルの一対一の対決です。映画は、アキレウスがヘクトルを殺した後、その遺体を引きずっていく場面までを見せます。この死が結末部の感情の方向を決める地点です。

同じ出来事は原典にも明確にあります。イリアス第22巻こそ、アキレウスがヘクトルを殺す巻です。ただし、映画の場面をそのまま第22巻の文章と同一視すると範囲が混ざってしまうため、「映画の出来事」と「原典の巻」を別々の層に分けて比較するのが正確です。

プリアモスによる遺体の取り扱い、映画と原典が重なる部分

ヘクトルの死後、映画はプリアモス王がアキレウスに遺体の返還を懇願し、正式な葬儀を営もうとする流れへと続きます。遺体を引きずる残酷さがプリアモスの懇願へと移ることで、結末部の感情が一つの方向へ流れていく区間です。

この流れは原典第24巻と重なります。第24巻は、プリアモスがヘクトルの遺体を取り戻し、哀悼と葬儀へと続く範囲を扱う巻だからです。つまり、遺体の引きずりから葬儀まで続く骨格は、映画が原典から取り入れた部分です。

ただし、重なっているからといって、一つ一つの場面が原文のままだという意味ではありません。映画はこの骨格の上に独自の構成と翻案を加えており、細部の描写まで原文と一致すると見なすことは難しいです。

映画の結末とイリアスの結末の違い

核心的な違いは一文にまとめられます。イリアス第22巻と第24巻は、木馬とトロイの陥落を扱う巻ではありません。叙事詩は、プリアモスが遺体を取り戻し、哀悼と葬儀へと続く範囲で終わり、トロイの最期はこの叙事詩が叙述する範囲の外にあります。

一方、映画は木馬の建造とトロイの陥落までを見せて終わります。そのため、映画の結末と原作の結末を比較する際は、映画が原典の後の出来事を翻案して追加したという関係で理解するのが正しいです。共有される流れは、怒り(第1巻)からヘクトルの死(第22巻)、遺体の取り戻しと葬儀(第24巻)までであり、木馬と陥落は原典の巻には存在しない映画の層における拡張です。

原典の叙事詩を直接読んでみたい方は、イリアスの本選びで版本を比較してみてください。映画そのものについての評価が気になる方は、映画トロイのレビューまとめへと続きます。

よくある質問

Q. ヘクトルはどのように死ぬのですか?
A. 映画ではアキレウスとの一対一の対決の末に死に、遺体は引きずられていきます。原典では同じ出来事が第22巻で叙述され、その後の遺体の取り戻しと葬儀は第24巻の範囲です。

Q. アキレウスの最期も映画に登場しますか?
A. 映画にはアキレウスの最期の場面が登場しますが、その細部の描写は劇場版やディレクターズカットなどの編集版によって異なる可能性があるため、この記事では場面の細部を断定しません。劇場版とディレクターズカットの違いは、トロイのディレクターズカット・劇場版比較で別途確認する方が正確です。一方、ヘクトルの死とプリアモスによる遺体の取り扱いは、映画で確認できる結末部の出来事です。

Q. イリアスは映画の結末とどこが違うのですか?
A. イリアスは、プリアモスが遺体を取り戻し、哀悼と葬儀へと続く範囲で終わり、映画の木馬とトロイの陥落は叙事詩が扱う巻の中にはありません。映画はイリアスより広い戦争全体を圧縮した翻案であるため、結末部分は原典とは別の映画的な拡張と見ればよいのです。

さらに深く知りたい方へ

映画の撮影の背景が気になる方はトロイの撮影情報を、原典の叙事詩に移りたい方にはイリアスの本選びが出発点になります。映画の結末部の出来事と原典の巻を並べて比較してみると、映画がどこに従い、どこを拡張したのかが一目で分かります。